絶景の巻

公開日:2021年02月27日 カテゴリー:未分類 タグ:

逗子海岸から車を走らせ飯島トンネルを抜ける。ここから見る鎌倉の海は素晴らしい。CMやドラマでもよく登場する風景だ。・・・ここを通ると時々思い出す事がある。それは40年前のちょうど今の季節。僕と兄は父から「お婆ちゃんがもう危ないからお見舞いに行ってこい」と言われた。後日僕と兄は横須賀の病院に赤いブルーバードのワゴンを走らせお見舞いに出かけた。時系列で思い出してみると鎌倉を出たのは午前中だと思う。病室は6人部屋だったか8人部屋だったか、とにかく何人かの大部屋だった。患者は皆年寄りで僕らは「どれがお婆ちゃんだ?」と分からないほど、皆痩せて見分けがつかなかった。そして祖母に声をかけた。祖母とは数年に1度会うぐらいだったし、何人も居る孫の一人だし、何より「危ない状態」だと言うのに、迷う事なく「大学はちゃんと行ってるのかい?」と僕に言うのだ。そして僕は堂々と「行ってるよ」とウソをついた。お見舞いを済ませ僕らは横須賀から逗子、そしてトンネルを抜け鎌倉に入った。その瞬間「波上がってるよ」と眼下に確かないくつものウネリの線を確認した。出かける時は波が無かったのだ。僕と兄はお見舞い気分から一気に気持ちはサーフィンに変わり、そのまま車を飛ばし七里ヶ浜でサーフィンをした。何故かこの瞬間の事を鮮明に覚えている。僕のズボンがリーバイスのクリーム色のコーデュロイ646だった事も。