カッちゃんの巻
公開日:2025年12月06日
カテゴリー:未分類
幼馴染のカッちゃんが死んだ。大腸がんだと言う。カッちゃんとは家が近所だった事もあり子供の頃はよく遊んだ。僕が小学3年生の時「酒蓋集め」が流行った。僕はこの酒蓋集めに大きく出遅れていた。優秀な子供ならいざ知らず、既に勉学を放棄した僕にとって、遊びに出遅れる事は全てを失う事。僕は母に「酒蓋が欲しい」と訴えた。酒を飲まない我が家にそんな物は無く、母は近所の酒屋から酒蓋をもらって来てくれた。だけどその酒蓋は流行ってるコルクの物ではなく、いわゆるスクリューキャップの物だった。僕は性格的に「蓋違い」を言い出せなかった。僕は焦っていた。何の為に勉学を放棄してるのか・・。そんな時カッちゃんがコレクションの酒蓋をいくつかくれたのだ。・・・カッちゃんは在日韓国人だった。それを知るのは僕が中学生。昭和のしかも鎌倉の小学生にそんな事を知る由もなく、日本語を喋る人は皆日本人と思っていた。小学4年生のある夏の日。僕はカッちゃんとカッちゃんの母親、中村君とその母親そして僕の5人で山中湖のバンガローに連れて行ってもらった。夜僕は目を覚ましてしまった。バンガローの2階に寝ていた僕は物音がする1階を覗き込んだ。そこには母親二人がお酒を飲みながら「ア~リランア~リラン」と唄っていた。幼心に凄い秘密を知ってしまったと思い、しばらくは誰にも言わなかった。・・・それから何十年も経ち、お互いおじさんになった頃、初めて在日だったんだねというような話をした。カッちゃんは「韓国行った事無いんだよね~」と言っていた。・・・カッちゃん早いよ・・酒蓋ありがとう。
